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第2回全国高校生政策甲子園決勝大会 発表内容(政策)の紹介

第2回全国高校生政策甲子園の決勝大会への参加については過去のブログにも書かせていただきましたが、決勝大会については国民投票をイメージした「LINE」によるインターネット投票によって順位が決定します。
実際の選挙のように組織票があったり、呼びかけによる票集め、そして政策内容ではなく知名度での投票などが想定されますが、それも含め、高校生など若者が選挙や投票に関心を持ってもらうためのしくみとなっています。
しかし、やはり発表した側としては政策内容を見て評価をしていただき、その上で投票していただけることが理想です。


そこで、実際の発表で用いたスライドと発表原稿を紹介し、LINEを利用していなかったりスマホを持っていなかったりする方々にも広く政策をお伝えしたいと思いました。
動画ではよく見えなかった内容もハッキリと分かるかと思いますし、5分という時間制限のために動画では泣く泣くカットした原稿もココではノーカット版として紹介いたします。
では、ご覧ください。

みなさん!今、この日本は多くの課題を抱えています!
このままでは、私たちの未来はどうなるのでしょうか!?

これらの課題の根本原因を考えた時、それはやはり・・・少子化問題です!
このままだと高齢者は増加するのに労働人口は減少し、日本の課題は増すばかりです。

こども家庭庁は少子化対策として、各都道府県に「地域少子化対策重点推進交付金」を出しており、私たちが住む長崎市では婚活サポートサービスの運営に使われています。その額は補正予算も併せてなんと100億円です。
しかし、それでも出生数は減少しており、効果が出ているとは言えません。

また、若者を対象にしたアンケートでは「子どもが欲しくない」という回答は45.7%におよび、その理由として「お金の問題以外」という回答は42.1%であり、「お金に関係なく、子どもが欲しくない」と考えていることが分かります。

つまり子育て支援などによって、お金の問題が解決すれば、少子化を食い止めることができるという考えは、根本から間違っている可能性があります。
よって、これからすべきことは・・・
前向きに「こどもが欲しい」と考えている人々への手立てであり、それこそが少子化解決のカギとなると考えました。
つまり、私たちの政策は・・・

不妊治療の普及による少子化問題の解決です!

不妊治療は他の治療に比べて高額です。
しかも、地域によっては専門施設や医師が少なく、都道府県をまたいだ通院が必要で、費用も時間もかかります。しかし、不妊治療を受けたい人が適切な治療を受けることができれば、出生数が増加する可能性あります。
こちらのグラフをご覧ください。

これは不妊治療による出生数の推移を示しています。
日本産科婦人科学会のデータを基にグラフを作成し、今後の予測曲線を算出しました。
2021年時点で約7万人が体外受精による出産で、これは11.6人に1人の割合です。
これらのデータをもとに体外受精と自然妊娠による出生数の過去10年間の平均増減率を算出し、今後の出生数を予測してみました。

このグラフを見ると、このままいけば2035年には少子化がストップして、その後は出生数の増加に転じることが期待されます。
つまり、不妊治療に対する支援をすれば、この予想より早く少子化を食い止めることができるかもしれません。

実際に不妊治療を行っているカップルは令和3年には全体の22.7%におよび、これは4.4組に1組の割合です。したがって、この政策は広く効果があると言えます。

私たちが提案する少子化問題への政策は3つあります。
1つ目は、不妊治療の専門医の育成です。

不妊治療を行うのは「産婦人科」「産科」「婦人科」また「泌尿器科」の医師です。この医師の数は全体の6.7%しかおらず、最も多い内科医に比べると非常に少ないです。
また生殖医療専門医の数は九州で見てみると、福岡などの都市部に集中しており、地方に住む人々は充実した不妊治療を受けることができません。
以上のことから、不妊治療の専門医の育成と認定、各都道府県への適切な配置を提案します。

2つ目は、通院時の交通費の助成です。

ある調査では、不妊治療における医療機関以外の出費として、サプリメントなどの次に交通費が大きな割合を占めています。
専門医の少ない地域の人々は、大都市の医療機関に通院する必要があり、その交通費を助成できれば、不妊治療の機会が広がると考えました。
九州の例を挙げると、これくらい費用も時間もかかります。さらには定期的な通院を考えると、その交通費は治療を望む人にとって大きな負担です。これらの補助を行うことで、より多くの人々が治療を受ける機会を得られます。

3つ目は、不妊治療の情報を広く正しく公開する啓発活動です。

不妊治療については若年層も高い関心を持っています。しかし、その知識や理解は乏しく、不妊の定義である1年以上ということを正しく理解している若者は少なく、3割程度しかいません。40歳以上でも5割程度です。
したがって、若いうちから不妊治療の正しい知識を得られれば、多くの人が関心を持つことができ、補償制度の拡大にもつながると考えました。
例えば、学校教育において、不妊治療をテーマとした「標語コンテスト」や「作文コンクール」「ポスター募集」などを行い、そのための資料として、不妊治療に関するリーフレットを配布することが効果的ではないかと思います。

この政策が実現すれば、不妊治療が全国に普及して、より多くの人が治療を受けることができます。
このことによって日本の出生率は上がり、労働力や年金問題など少子化による様々な課題が解決できるのではないでしょうか?
まさにこれからの日本を考えていく上で「1丁目1番地」の政策だと考えます!

さて、ここまで不妊治療について話してきましたが、ここまでのデータは主に女性をメインとした話です。
しかし、私たちが本当に伝えたいのは男性側の話です!
みなさんの多くは不妊原因は女性側にあると思っているかもしれません。
ですが、実は不妊原因の約半数は男性であると言えます。
つまり男性不妊治療への補償も充実させることができれば、グラフで示したよりも出生数が増加し、少子化問題をより早く解決できると考えられます。

男性の場合、精液検査で容易に不妊原因となる精子の状態が分かり、この発見が早ければ、早期治療を行うことができます。
例えば、乳がんや子宮頸がんの検査のように、20代男性に無償で精液検査を実施するのはどうでしょうか?費用は約65億円かかりますが、先ほどの100億円の予算を考えれば決して実施不可能ではありません。
このように女性に限らない、男女共同の不妊治療を僕たちは提案します!

これによって、多くの課題を解決し、子どもたちが笑顔で生活できる明るい未来を作ることができるはずです。
ご清聴ありがとうございました!

以上、精道三川台高等学校「Storm Bringers」の政策でした。

不妊治療は2022年4月から保険適用となりました。
先日8/30に日本産科婦人科学会が2022年の調査結果を発表しました。
2022年に不妊治療の体外受精で誕生した子どもは2021年から7,409人増えて、過去最多の77,206人とのことです。
厚生労働省によると、2022年の出生数は770,759人ですから、およそ10人に1人が体外受精で生まれたことになります。
1クラス30人とすれば、クラスに3人は体外受精での誕生した子どもたちがいるという計算です。

これからはますます男女が性別の区別なく働く社会になっていくことでしょう。
晩婚化もより一層進むかもしれません。
したがって不妊治療は決して他人ごとではありません。
2022年の治療件数自体は543,630件ですから、不妊治療の成功度を高めるための専門医の育成や技術の向上も今後より求められるかもしれません。
少子化対策はもちろんですが、子どもを望む多くの方が幸せになれる社会が作られることを願い、この政策をみなさんにお伝えします。

改めまして、私たちの政策を見聞きして評価していただけましたら、ぜひ熱き一票をお願いいたします。

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