• カトリックの教え

令和2年度 3月『感謝』

 コンビニでおにぎりを110円で買いました。でも、よく考えてみれば、おにぎり自体の値段は「ただ」です。なぜでしょうか?お米を育てた人、海苔を採った人、ご飯を炊いて握った人、それを包装した人、工場からお店まで運んだ人、それを売る人、それぞれ働いた人にお金を渡すと、代金の110円すべてがなくなります。結局、おにぎり「そのもの」は無料なのです!あらゆる食べ物は、「自然の恵み、労働の実り」です。だから食事をする前に「いただきます」と感謝をします。自然を創った神と、働いてくださった人に感謝しているのです。


 コンビニのおにぎりは、神様からのプレゼント(自然)と人間の仕事でできていました。おにぎりに限らず、全てのものは人間と神の共同作品です。身の回りのものをもう一度、見回してください。鉛筆、ノート、着ている服、座っている椅子、学校の建物など、世界は神様の贈り物と人間の仕事でできています。お金を払ったから自分の「もの」だと勘違いしがちですが、お金は働いた人に払っているのです。「もの」自体は無償の恵みです。ただで神様からいただきました。だから、何でも感謝しないといけません。


 今、環境破壊がすすんでいます。後戻りできる最後のチャンスです。何もしないと手遅れになります。こうなった原因は自然を単なる資源として考え、経済的な価値しか見なかったからです。「自然は神からの貴重な恵みである」という観点が抜け落ちていたのです。地球を守るために、科学技術だけでは足りません。自然を神から預かった大切な宝と思い、資源を私有せず、次の世代に伝えたいという愛が必要になります。ミサは、「感謝の祭儀」と訳されます。その中で「大地の恵み、労働の実り」と唱えます。年度末を迎えましたが、この一年を感謝で締めくくりましょう。