• カトリックの教え

令和4年度4月『礼儀』

 失礼なことをされて嬉しい人はほとんどいないと思います。なぜ嬉しくないのか。著名な小説家であり宗教家であるC.S.ルイスという人は、この問いに対して、人はこう振舞うべきだという基準(法)を生まれながらに自分の中に持っていて、それを相手も同じように持っているはずだという意識があるからだと述べています。ですからその基準から外れた行動をとられた場合、それは法に従わない悪い行為なので人を不愉快な気分にさせるのだそうです。そして人と人の諍いはほとんどの場合、この基準から外れたことをされたという意識から始まるものだということも書いています。例えば挨拶されたら挨拶を返すのがこの法に従った正しい行為で、挨拶されたのに無視するのは悪い行為だと言うことになります。確かに野生の動物が挨拶を返さないからといって気分を害する人はあまりいないでしょうが、人ならだれでも気分を害するでしょう。ただし、挨拶の仕方は抱擁、握手、お辞儀など、それは時代や場所によって変わり得るものではありますが。ちなみに彼は他人がこの法を守らなかったらけんかになるが、実は自分も案外守っていないことを自分でよく知っており、そのことに思い悩む存在であるので、ここに人の宗教の必要性があると述べています。人にとって、この内的な法に従うことはとても大事だということです。今月のモットーは礼儀です。礼儀を重んじることはこの内的な法を重んじることにつながることになると思います。