• カトリックの教え

7月『友情』

 これまで生徒から「親友と言える友達がいない」「クラスに友達がいない」といった相談を受けたことがあります。そんな時は「焦ることないよ」と伝えます。友達はいる方が楽しいし、助けられることも学ぶことも多い。人生が豊かになることは間違いありません。しかし、友達は人間関係の一つであり、出会いには「縁」「タイミング」というものも影響すると思うのです。

 以前担任していた生徒の話です。気の合わない二人の生徒がいました。お互いそれが分かっていて、同じ部活に所属しているのにほとんど口を利きません。先生が止めに入るほどの大ゲンカをしたこともあります。その関係は卒業まで変わりませんでした。ところが、卒業して10年以上たった現在、二人はしょっちゅう食事に行っています。一方が結婚する時にはもう一人が友人代表としてスピーチし、同級生のお祝いメッセージの動画を作成するような仲になりました。昔のことを尋ねると「中学のころは〇〇のこと大嫌いでしたよ。それなのに不思議ですよね」と言います。なぜ仲良くなったか本人たちも分からないそうです。

 友情は愛情の一つのありようです。愛情は自分の損得を考えずに相手を受け入れることから始まります。気の合わない人を受け入れるのは難しいことですが、それを心がけている人にはいつか必ず人との「縁」が訪れます。先の卒業生も年齢を重ねて互いを受け入れられる心の広さを得たのでしょう。損得勘定ではない人間関係はきっと人生を豊かにします。