• カトリックの教え

令和3年度6月『勤勉』

スポーツ観戦をしていると「天才」と思える選手が必ずいます。メジャーリーグで活躍し、世間から「天才」と言われたイチロー選手は次のように語っています。

「努力せずに何かできるようになる人のことを『天才』というのなら、僕はそうじゃない。努力した結果、何かができるようになる人のことを『天才』というのなら、僕はそうだと思う。人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです。」

 天才と言われる多くの人たちが努力の必要性を述べています。しかし、ただ努力すればいいと言うことでもなさそうです。たとえば、大学入試直前に何時間も勉強して漢字ばかり覚えても、その努力が入試結果につながるとは思えない。努力には目的と自己分析が必要でしょう。何のために取り組むのか、自分には何が不足しているかを知る。そして目的達成のための具体的な方策を考え、それを継続していく。

 「勤勉」とは「一所懸命に精を出して励む」と辞書に書かれていますが、ただ精を出すだけでは目的達成は難しい。ノートは整理されていてすごくきれいなのになかなか成績に結びつかない。そういう人は、一所懸命に精を出しているが、努力の仕方を見直す必要があるかもしれません。人から天才と言われないとしても、「勤勉」の徳を身に付け、社会に貢献できる人間に近づきたいものです。

「決心は少しでよい。実際的なあるいは《現実に即した》決心を立てなさい。そして神の御助けを支えに必ず果たすのだ」(道249)