- カトリックの教え
愛国心が日本を救ってきた
もうすぐ長崎原爆投下と終戦の記念日を迎えます。戦後は愛国心が軍国主義を助長すると考えられて、危険視されてきました。しかし、本当は逆です。若者の純粋な愛国心が日本を救ったのです。それを巧みに利用したのが軍国主義であり愛国主義です。これと愛国心を区別しなければ本当のことが分かりません。神風特攻で散って行った若者は軍国主義者ではありません。純粋に日本を思い、家族を思い、大切な国や家族を守るために命を捧げた立派な人々です。この思いがあったからこそ、戦後の日本は奇跡的な復興を遂げることが出来ました。彼らの死はけっして無駄にならなかったのです。特攻作戦は卑劣で非人道的で、大いに非難されるべきですが、散っていった若者の愛国心まで否定するのは愚かなことです。
近代日本を振り返れば、幕末・維新から大東亜戦争まで75年、終戦からコロナ社会の現在まで75年です。幕末、国を憂う若者が溢れ、列強の植民地にならないように日本の将来を考え、命を懸けて新しい日本を造ろうとしました。明治を造ったのは20代の若者の力でした。彼らの国を思う心が日本を植民地から守りました。愛国心が日本を救いました。戦後は、国のために命を捧げた若者の愛国心に励まされて、同世代の人々が日本復興のために死に物狂いで働きました。こうした先人の愛国心の遺産の上に今の日本が成立しています。
「友のために命を捧げる。これ以上の大きな愛はない」とイエスは教えました。国のため、家族のため、友のために命を捧げた特攻の若者は、その行いによってイエス・キリストと結ばれたと言ってもいいでしょう。復興のために人生を捧げた無名の人々も神につながっていたと言えます。ところが、その愛国心が危機に瀕しています。人々は国を思うより、自分のことばかりを思い悩んでいます。さらには、家族より自分を優先しています。誰かのために命を捧げることが、まるで愚かなことであるかのように軽んじられています。
戦後75年を経て、新たな世界情勢が日本を取り巻いています。「分かれ争う国は滅びる」と聖書は教えています。個人の主義主張をするばかりで、日本という国を愛さないなら、グローバリズムという看板を掲げて国を無視して企業の利益だけを求めるなら、日本の将来は危ういでしょう。今こそ、もう一度、愛国心に目覚めるときです。■(文責:小寺神父)
*2021/07/02 精道学園・高校1.2年生への説教より