- カトリックの教え
希望をもたらす人に成れ!
みなさんは、小1から高三まで12学年の最高学年になりました。君たちの言動が下級生に大きな影響を与えます。今日から準備を始める体育祭の色別応援で早速に試されます。下級生の学園生活に夢や希望を与える人になってください。
ところで、「希望とは何でしょうか?」現実世界ではウクライナ戦争があり、中国の台湾侵攻の危機は高まり、世界が分断され対立が深刻になっています。また物価高で生活は圧迫され、将来に不安が広がっています。このような状況で自分の未来に希望を持てない人も多いでしょう。でも、そんな人は希望を勘違いしています。希望は外から与えられるものだと思っているのです。バラ色の社会なら自分の未来も希望に満ちていて、不安定な社会なら希望はないと考えているのです。つまり人生を受身で生きているからです。真の希望は外から与えられるものではなく、自分で生み出すものなのです。一つのエピソードを紹介します。
12年前の東日本大震災で多くの方が被害を受けました。ある人は津波ですべてを失いました。家族も家も土地も、仕事も友人も何もかも失いました。自分一人だけが生き残ったのです。もう生きる意味がないと思って、自分から死を選ぶ人もいました。希望も一緒に失ったのです。ところが、絶望的な状況で希望を見出した人もいました。悲しみに打ちひしがれながらも「なぜ自分一人だけが助かったのだろうか?」不思議に思い、思い巡らし、祈りました。そして、「神様が私に命を残したのは、まだすべきことが残っているからだ」と気付きました。回りを見渡すと、自分と同じように大切な人を失い悲しむ人が大勢いました。すぐに答えは見つかりました。この人々に寄り添って励ますことが自分の使命だと。これまで家族のために生きて来たけれど、これからは苦しむ人のために生きる覚悟が生まれました。それが生きる希望の光になりました。
多くの人がその人の生きる姿に励まされ、勇気を与えられ、生きる希望をみい出しました。一人の希望が多くの人に伝わり、皆の希望に変わりました。これこそが真の希望です。受身の人生では生まれて来ない希望です。暗い社会なら、自分が社会を明るくするという覚悟と決心が希望を生み出します。そして、人々に希望をもたらすのです。状況が悪いなら、自分がそれを改善するという自覚を持てばいいのです。大きなことは出来なくても、自分の回りだけでも明るく照らせばいいのです。それがあなたの人生の希望の光になります。■
*2023/04/14 高三説教(文責:小寺神父)