- カトリックの教え
「運」と「メンタル」の正体
2021/06/11高校三年生説教
大谷選手の快進撃が続いています。今の成功は、彼が高校時代から実践していた「あること」が大きく関係しています。それがマンダラチャートです。正方形を9分割して、人生の目標をど真ん中に書いて、それを実現するために必要な項目を周囲の8つの小正方形に書き、それぞれの項目をまた9分割して、それを実現させる具体的行動を周囲の小正方形に書くというものです。ど真ん中に「ドラフト一位指名8球団」と書きました。それを実現するため必要な項目として野球技術に関する「コントロール」「球速」など5項目を挙げていますが、興味深いのは「人間性」「メンタル」そして「運」を挙げていることです。野球で成功するために、人間的な成長が欠かせないと考えていたことです。
「運」を引き寄せるための具体的行為として、ごみを拾う、道具を大切に使う、部屋を掃除する、審判を敬う、本を読む、応援される人間になる、などを挙げています。今も大谷選手はこれを実践しています。そして実際に運を引き寄せたように見えます。確かに、人生には運がいいとか悪いとか、あるみたいです。運とは何か、その正体を今から話そうと思います。それは天から降って来るものではありません。運の正体は「神から愛されること」です。もっと正確に言えば、神はすべての人を愛していますが、多くの人はそれに気付かず、それに応えようともしません。その結果、神の望みから反対方向に行ってしまうのです。神の愛を無駄にしている、これが、運が悪いということです。神に愛される人は、身近な人から愛される人です。それは身近な人を大切にする人でもあります。だから大谷選手は運がいいのです。聖ホセマリアが教えた「喜びと真心を込めて人々に仕える」に通じます。
「メンタル」の正体のついても話しましょう。技術が優れていても、その力を必要な時に発揮できない人がいます。メンタルが弱いからです。それも含めて実力です。メンタルが強い、その正体は何でしょうか?それは「おのれの弱さをさらけ出せる心」のことです。自分の弱点や欠点を知り正面から見る勇気、それを恥ずかしがらず、今の自分の現実の姿として受け入れること。すなわち指導者に隠さず見てもらうのです。弱い人は隠します。欠点を見せたくないのです。強がって見せます。欠点や弱さから逃げているからです。最低の自分を知っている人は恐れるものがありません。失うものもありません。自分が勝手に造り上げたプライドや世間の評判など、心を邪魔するだけのガラクタです。弱さを知る人が強いのです。弱さを隠した強さは脆いのです。小さなつまずきで崩れます。これが、メンタルが弱いの正体です。格好つけずに「正直一番」を心がけることが大切です。聖パウロは「神の強さは、弱さのうちに実現する」と教えています。■(文責:小寺神父)