- カトリックの教え
令和6年度 高校卒業式での司祭の話

卒業生のみなさん、保護者のみなさま。ご卒業、おめでとうございます。
「互いに愛し合いなさい。これが私の新しい掟である」と聖書は教えます。幸せは愛で決まります。富でもなく、地位でも、名声でもありません。これらは過ぎ去ります。友のためにいのちを捧げる、この一番大きな愛を生きる人が、一番幸せです。
ところが、現代人はリアルな生活において、この愛を貫くことが無理だと感じています。2019年、フランシスコ教皇が来日された時、全国民に向けて一つのメッセージを出しました。「日本は経済優先の社会で、人間が経済の道具にされている。人間優先の社会に変わるべきだ」と指摘したのです。お金や利益が優先され、愛が犠牲になっているのです。
「友のためにいのちを捧げる。これほど大きな愛はない」のです。
人間優先の社会を創るために、聖ホセマリアは「仕事の聖化」を強調しました。
「愛する心を、仕事で見える形にする」ことです。友のため、人々のため、社会のために働き、社会と人々に、自然に「恩返し」をするために働く、これが仕事の聖化です。
「自分の置かれた場所で命を懸けること」、つまり「一所懸命」です。一生にわたり頑張る「一生懸命」ではなく、「今、ここで、目の前の人に真心を込めて仕える」、一所懸命は仕事の聖化に通じます。
戦後80年の節目を迎えた今こそ、お金中心の仕事から人間中心の仕事に変える時です。一生かけて富を増やすより、仕事を通して多くの人と出会い、信頼と絆を育み、友を増やす方が、価値があります。お金の「円」ではなく、人との「ご縁」を増やす方が幸せです。
お金中心のピラミッド型社会から、互いが「恩と恩返し」でつながる『三方良し』の丸い社会に変えましょう。卒業生のみなさんが大人になった時、そんな社会になっているでしょう。そんな社会にしてください。一人一人の思いが、みなさんの未来を創ります。
■(文責:小寺神父)