• カトリックの教え

令和4年度12月モットー『寛大』

司祭になるための勉強をローマ(イタリア)で行っていた時、私はCARF(ローマ学術センター基金)という団体から奨学金をいただいていました。この基金は世界中から司祭になることを志してローマに集まってきていた学生の支援を使命としていて世界各地の篤志家の寄付によって支えられています。ある時聞いたのは、経済的に余裕のある方々だけではなく、中にはパートをしながら家族を支えている主婦が新しい靴を買おうとショッピングセンターに行った時にポスターを見て共感し、靴を買うためのお金を全額寄付してくださったという話です。私には忘れられないエピソードです。会ったことのないこの女性に今でも心から感謝をしています。有り余る中からではなく、自分に必要なものを削ってまで為された寛大な愛のこもった行いだったからです。寛大さは人のつながりを生み出し、感謝と愛を広げる力があることを学びました。決して一人で生きているのではなく見えないところで為された寛大な行いに支えられて今の自分があると知るのはとても豊かな経験です。今私たちが手にしている有形無形のあらゆるものも、その背後にたくさんの人々の寛大さが隠れているのかもしれません。そんなことを改めて思い出してみると、喜んで寛大に自分なりのお返しをしたいという望みが湧いてきます。